自転車
その昔、足で蹴って地上を走行する二輪車から始まって、前輪にペダルを取り付けた「ダルマ車」と呼ばれるペダル式自転車が考案され、更に今日の自転車の原型であるチェーンによる後輪駆動式の自転車へと時代は移り変わった。
そしてママチャリやシティーサイクル、マウンテンバイク、ロードバイク等多種多様に進化しながら庶民の足となって根付いたが、そのいずれも、
乗り手の力によってのみ駆動する、という定義がある。
ところが1993年、その定義である乗り手の力をモーターが補助してくれるという
「電動補助(アシスト)自転車を世界で初めてヤマハが発売した。
- 補助してくれると言えば簡単だが、他国の電動自転車と違って、乗り手のペダルにかかる力加減をタイムリーに判断しながら搭載したモーターがそれに応じたパワーをコントロールしてくれるという優れものである。
この電動アシスト自転車は厳密にいえば本来の自転車の定義からは外れる、が、所定の範囲以内のアシスト力であれば法律的には免許もヘルメットも不要の「自転車」と見做されたことで、やがて原付バイク、自動二輪を含むバイク全体の出荷台数を超えて市民権を得るに至っている。
進化の途中、人の力からエンジンの駆動を応用した(ペダルを踏んでエンジンをかける)二輪車、いわゆるオートバイが自転車から分岐して進化を遂げた。
戦後間もない頃は、既存の自転車に後付けするエンジンのメーカが国内で数百社あったというから驚く。
勿論ハーレーダビッドソンもホンダもそしてあのトヨタも自転車にエンジンを取り付けて走る「原動機付自転車」からスタートしている。
法律的には原動機付自転車(原付)は「自転車」に分類され運転免許が不要であったが後に許可制となり、1960年(昭和35年)に免許制になっている。
尚、原付には排気量50㏄以下の第一種と51㏄~125㏄以下第二種がある。
一種は最高速度が30㎞以下であるが普通自動車免許で乗れる。
即ち一種は原動機を搭載した自転車である。
(尚、近い将来一種は全てが電動化され電動アシスト自転車の仲間入り?)
二種は「小型限定自動二輪免許」となっておりその免許を新たに取得しなければならない。即ち二種は自動二輪の仲間である。
一般にペダルの付いた原動機付自転車は「モペット」と呼ばれている。
電動アシスト自転車自作
時代は化石燃料から再生エネルギーを利用した電動化へと確実に動いている。
既に電動アシスト自転車の生産台数は一般の自転車はもとより原動機付自転車を上回っている。そしてそのアシスト自転車の実力も試乗で確認済みだ。
ある時、掃除機に使っているマキタの互換バッテリーが目に留まった。
もしや❕
「18V 6.0Ah」 直列につなげば36V
一般的な電動アシスト自転車の出力は240W 36V
このバッテリーで自転車が動くかもしれない!
※マキタのカタログ値では最大トルク800N・m 1充電当たり
約7.4分の作業量らしい。
となれば最大で約875W⁉
実験開始
ホンダもトヨタも当初は既存の自転車に取り付けるエンジンのキットを販売することから始まっている。
電動アシスト自転車もキットが販売されているはず、と探してみると、
アマゾンにあった!
取り付ける自転車はマキタの互換バッテリーを搭載すると決めた時から、廃車して数年経つナショナルの自転車(通勤用に使っていたママチャリ)と決めていた。
その理由は、
1.荷台にバッテリーを搭載できる事。
2.所有している実用車のスタンドを生かす。(モペットに取り付けようと購入したが、構造的に実用車のスタンドが取り付ける事が出来ず物置の隅に眠っていた)
3.経年劣化した自転車を復活させる愉しみがある。
尚、モーターの出力は500w、700w、1000wとあったが廃車したママチャリである。500wで十分である。(登録する場合600w以上は原付2種となる)
取り敢えず廃車していたママチャリを引っ張り出して磨いた。
長期間乗らずに放置していたので鉄部のサビは酷く、チーンも伸びきってブレーキワイヤーも切れかかっている。
それから、後輪にぐらつき、がたつきが認められる。
ぐらつきは玉押しの緩み、がたつきはベアリングのグリス切れ、あるいは摩耗、破損?
これは致命傷である。
後輪を取り外し、内装3段のハブをオーバーホールすることにした。
組み立てる順番や方向を間違ると正常に作動しない。
玉押しもガタが無いよう緩まず、締め付けすぎないように微妙な力加減で締める。
玉押しの調整には15㎜の薄いスパナ—が必要。(自転車はやたらと専用の工具が要る)
ベアリングを交換し、グリスを塗り込み組み立てると、見かけは老体であっても気分的には新品のような心地よさがある。
バッテリを搭載するために、新たに購入した実用車用荷台と数年間眠っていた実用車用スタンド。
電動モーターを取り付ける前の外観はこんな感じ。
注文した電動モーターキットが到着するまで約一月かかった。
その間にマキタ互換のバッテリーを固定するアダプターをアマゾンから購入し、基台を作成した。
このアダプターを2個直列に配線しなければならない。(18v×2=36v)
直列に配線し、+側に平型ヒューズホルダー(20A)を取り付けた。
コネクターはXT60。
このアダプターに互換バッテリーをセットして電圧を測ってみると40.9V
木の板に直列につないだバッテリーアダプターを木ネジで止め、荷物バンドで固定した。
強力なゴムバンドの為、跳ねて外れたしはしない。多分。
これにモーターキットを取り付ければ完成!
そうこうしているうちにモーターキットが届いた
フロントギアの歯数は選択可で、最も歯数が少ない44を選んだ。(現ママチャリの歯数は32)
モーターユニットとBB(ボトムブラケット)が一体となっており、モーターでクランクシャフトをダイレクトに駆動させるシステムである。
モーターから数本の色分けされたコードが出ている。
コントローラーはどうやらモーター内に格納されているようだ。
以上が同梱のパーツである。ただ、
取扱説明書は日本語どころか外国語の説明も無い。
見開きの冊子に日本語以外の簡単な案内文とQRコードが記されているだけである。
どうやらオンラインでの取説のようだ。
しかし、説明書を見なくても(クランクを取付け交換した経験のある人なら)簡単に取り付ける事が出来そうである。
経験の無い人も同商品を取り付けるYouTubeがいくつも掲載されているので事前に確認しておけば作業は面倒でも難しくは無い。
手順としては先ず、
・廃車していたママチャリの伸びきったチェーンを切り取る。(後に新しいチェーンに取り換える)
・次にママチャリのクランクを抜き取る。(クランク抜きの工具は同梱)
・そしてモータユニットのBBと一体となったシャフトを抜き取ったフレームの穴に差し込んで同梱の新しいクランクとギアを取付ける。
・チェーンを取付ける。
これで駆動部分の作業は完了である。
それから、
・前後ブレーキレバーの交換(同梱のブレーキレバーにはブレーキを引くとモーターの駆動をOFFにするセンサーが付いている。尚ワイヤーは既存のものを使う)
・ディスプレーの取り付け(一体型の小型で安価なディスプレーにした)
・スピードメーターのセンサー取り付け(後輪に一般的なマグネットセンサー)。
・アクセルレバーの取り付(アクセルを取り付けなければ、ペダルとモーターが連動してアシスト自転車となる。取付けると公道は走れない)
・ヘッドライトの取り付け。
以上を取付けて、モーターから出ている色分けされたコードと、それぞれのコードをはめ込めば終了である。
最後にモーターから出ている電源コードと自作したバッテリーコードを繋いですべて完了である。…多分。
取り敢えず伸びきったサビたチェーンの切断。
チェーンカッターは同梱していない。(自前のチェーンカッターで切断)
ママチャリに取り付ける場合はフロントギアの歯数が異なり、チェーンが長くなるため交換は必須。
(クロスバイク等に取り付ける場合は既存のバイクのフロントギアに近い歯数を注文すればチェーンの交換は必要ない)
クランクの取り外し
先ず、クランクを止めているネジを六角レンチで取り外し(ボルトの場合もある)そこへクランク抜きの工具(同梱してあるが使い慣れた自前のシマノの工具を使った)をねじ込む。
次に、工具のボルトをねじ込んでいくとクランクのシャフト(BB)を押し、その反動でシャフトからクランクが外れるとうい仕組みである。
反対側も同様に行う。
クランクと左右のクランクを連結するシャフト(ボトムブラケット)を取り外した。
このクランク周りの作業が全行程の中で最も作業らしい作業?
取り外したクランク周りのパーツ。
赤丸の部分を先ほど取り外したクランクシャフトの跡に差し込んで固定する。
四角いボルトに同梱のクランク(写真右下)を取付ける。
一体となったモーターがクランクシャフトを回転させてアシストする仕組みである。
グリスを塗って、右側からモーターユニット一体のシャフト(BB)を差し込んで左側を付属のパーツで固定する。
付属の緩み防止を兼ねたBB固定ネジ(正式名称は知らない)を同梱の工具で締め上げる。
モーターユニットの本体(フレーム)への取り付け完了。
付属のギアをモーターユニットに六角レンチで固定する。
左右のクランクを付属の六角穴付ボルトでクランクシャフトに取り付ける。
ギアとクランクの取り付けが終了したら新しいチェーンを取付けて駆動系の作業終了。
※新しいチェーンは後輪を最前位置にして、たるみが無いように計測して切断した後、付属のピンをチェーンカッターを挿入し取り付ける。
前後のブレーキレバー取り付け
既存の前後のブレーキレバーにを取り外し同梱のブレーキレバーに取り換える。
付属のブレーキレバーにはレバーを引くとモーターの電源がカットされるセンサーが内臓されている。(ワイヤーは既存を使用する)
油圧式ブレーキ等既存のレバーを使用する場合はオプションで既存のレバーに取り付けるセンサーが選べる。
尚、リアを外装で変速する場合は、変速時にモーターの電源をカットするセンサー(ワイヤー途中に取り付ける)が同梱されている。
ディスプレー、アクセルレバー取り付け。
アクセルを取付けると登録なしで公道は走れない。
今回はアクセルの効果を試すため、取り敢えずアクセルレバーを取り付ける事にした。
ディスプレーは左に取り付ける。
尚、高価なディスプレーは操作部と表示部がセパレートになって見栄えが良いが、購入したのは一体型で安価なディスプレー(外観は一般的な電動アシスト自転車とほば同じ)
アクセルレバーはを取付ける場合はブレーキレバーを取付ける前に取り付けておく。
アクセルレバーはハンドルの右が理想だが右には内装のシフトレバーが有る為、左に取り付けた。
スピードメーター センサー取り付け。
回転するマグネットとセンサー接触しないよう、離れすぎないように(間隔2mm程度)同梱の結束バンドで取り付ける。
タイヤサイズを入力すればディスプレーにスピードや走行距離等が表示される。
(一般的なスピードセンサーと同じ)
ヘッドライトの取り付け
ヘッドライトはすでにオートライトが備わっているが、せっかく同梱されているので取り付ける事にした。
ライトはモーターユニットを駆動させるバッテリー
ライトは既設のボルトを利用して取り付けるようになているが、適当な場所が無かった為、買い物かごの前に金具をボルト止めして取り付けた。
バッテリーの消耗を防ぐため、通常は既設のオートライトを使用する。
配 線をつないでほぼ完了
各装置が取り付けが終われば後はモーターユニットから伸びているコードと前後のブレーキ、ディスプレイ、アクセル、スピードセンサー、ヘッドライトそしてバッテリーを付属のコードで繋ぐ。
コードは色分けされているので難しくはない。
完了と思いきや
全ての配線を接続した。
いよいよ36Vのスイッチon❕
灯りが点いた❕
肝心なところに「Tearning」(保護シールを)「剥がせ」…多分 とある。
よって保護シールを剥がすと、ナント保護シールの下、即ち本体に直接貼ってある。
それも強力な粘着力である。とてもmade in Japanでは考えられない。
本体のシールを傷つけて剥離が完了。保護シールは元に戻した。(後日100均の保護シールを買って貼った)
それはともかく電圧は39.8Vと示している。(+を押したら1.2.3と表示された。5速仕様の為5まで表示される)
なんとなく成功の模様
と思いきや
アクセルを回しても、ウンともスンとも言わない。
クランク(ペダル)を回してもディスプレイに変化はない。ただのママチャリである。
初期不良⁉
落胆しつつ、暫くディスプレイを眺めていると、電圧は39.8vとあるが、
表示されるはずの電気の残量F(Full 満タン) E(Empty 空)の表示がない!
一般的にバッテリーの残量は低下していく電圧を基準に表示される。
即ち定格電圧を下回れば残量0。
ガソリン駆動でいうところの燃料タンクが空っぽの状態ではないか⁉
そこでモーターの定格を確認すると、
48V 500w
と刻印されている。
原因は電圧不足にほぼ間違いない。
一般的なママチャリ(電動アシスト自転車)はせいぜい定格電圧36v 電力量(出力)300W程度である。
48V定格のモーターを18V×2個(36v)でもいける、と思ったのだが…。
そこでマキタバッテリー対応のホルダーを追加注文。
これで18V×3=54v 容量は直列のため6.0Ah
純正(専用)のバッテリーの定格は48Vである。
電流は500w/54v=9.25Ah
最大1000wとして1000w/54v=18.51Ah
よって、ヒューズホルダーには20Ahのヒューズを入れた。
バッテリー3個直列につないで荷台に取り付けた。
これでスイッチonして正常に表示されるなら完成!…多分。
満タンの表示がでた!
電圧表示は残量「100%」の表示に変更する事が出来た。
尚、初期電圧表示は60.4vであった。
やはり電圧不足が原因だった。
無負荷(スタンドを立てたまま)でアクセルを回すと「ガクン」と言った感じでモーターがチェーンを駆動させて後輪を回転させた❕。
モーターバイクと同じくアクセルを回しただけ回転が速くなり速度も上がる。
ペダルを軽く回すと同様にチェーンが駆動して後輪が回転する。
ペダルアシストについては実際乗って運転してみないと何とも言えない。
(数字の「1」は無負荷で1Km(ODO積算距離)運転したことを示す)
上記はオンラインによるディスプレイの操作マニュアルの一部である。
(❷ペダルアシストレベルは高価な9速のメーター表示もあるが購入したのは安価なタイプで5速までである。しかし5速もパワー、スピードは9速の1・3・5・7・9と同じである)
表示は英語であるが、中学生程度の学力があれば凡そ解る。
学力が無くても設定に慣れた人、サイクルメーターを扱える人はマニュアルを見なくても凡そ解る。
尚、➎には「Walk Assist Mode」とある。
(-)ボタンを押し続けると時速4マイル(約6Km)で進み、前後に重い荷物を積んだ時などに押し歩きする事ができるらしい。
この機能は日本ではPanasonicが2021年に発売しているが日本の法律では完全に乗れない状態(Panasonicではサドルを斜め前方に倒す)で使用しなければならないらしい。
(電動車椅子が歩行者として扱われるのだから、近々法律も改正されるに違いない)
試運転
思ったより簡単に取り付けられた。
ただ、荷台にむき出しのバッテリーでは不審車両として通報されるかもしれない。
たとえ公道以外でもお巡りさんに見つかれば職質は免れないだろう。
そこでバッテリーをホームセンターから調達した蓋付きのコンテナBOXに格納して荷台に乗せた。
BOXには余っていたブレーカースイッチ(AC仕様で20Ah)をサドル後ろのBOXに取付た。
BOXの右半分を開けているのは、うまくいけば予備のバッテリーを搭載するスペース。
アシストレベル0 即ちバッテリーの駆動を全く伝えないママチャリモードであったとしても
試乗は道路交通法の及ばない河川敷で行った。
前日の雨で少しぬかるんだ草むらを走らせた。
先ず、バッテリーとモーターのコードを(XT60)を接続。
バッテリーのメインスイッチ(ACブレーカースイッチ)をON。
メーターの下にあるスイッチを長押しすると「Hello!」と電源が入って準備万端。
足場は昨日の雨を含んだ柔らかい土に刈り込んで間もない草むら。
ママチャリを押して進むことすらままならない悪条件だ。
メーターのアシストレベルを「1」にしてアクセルを回した(ママチャリのギアシフト1速)。
すると、「グゥ」とモーター息吹いて、
まるでアスファルトの路面を行くが如くスイスイとスタートした。
想像以上のパワーだ!
アシストレベルを「2」にするとトルクが増してスピードが加速する。
アクセルを戻してペダル漕いでみた(アシストモード)。すると
ペダルに全く負荷がかからない状態で加速するではないか❕
要するにペダルの回転がアクセルである。
「3」ではアクセルを軽く回すだけで加速が早まる。
「4」「5」では…。この路面でそれもママチャリで走ることは無謀である。
そこで土手(堤防)の斜面(目測35度内外)を最強の「5」で登って(斜めに)みた。
一杯にアクセルを回すと、人力でアシストすることなくグイグイと力強く草むらの土手を登った。
メーターには出力970Wと出た。
ついに0.5Kw(0.67馬力)が堤防の斜面(法面)を登り切った。スゴイ!
まさに「Motor cycle」である。
因みに、31.7㏄(0.8馬力)のモペット(エンジン付き自転車)では、この斜面は勿論のこと平坦でぬかるんだ草むらですら自力で走行できるかどうか、というレベルで、このマキタ対応のバッテリー搭載の電動自転車とは比べ物にならない。
ただ、この電動自転車「Motor cycle」は公道は走れない。
エンジンの半分にも満たない小さなモーターと高出力のバッテリーが次世代の乗り物(取り分け自転車)の主役になることを体感した瞬間であった。
ところで、キットにアクセルが装備されていたのでついモーターバイクのように遊んでしまったが、本来の目的は、廃車したママチャリにマキタ対応のバッテリーを使って、電動アシスト自転車を造ることにあった。
そこで、アクセルを取り外せば「電動アシスト自転車」となって、歩道も自由に走れるではないか⁉
外観だけなら小さなモーターと荷台に積んだバッテリーだから電動アシスト自転車であることさえ気づかないかもしれない。
ところが乗ってみると、いわゆる日本の法令が定めた「電動アシスト自転車」とは趣が異なる乗り物であることが分かった。
その違いとは
日本の法律では、時速10キロまではペダルを踏む力1に対してモーター2の割合となっているが(常にペダルに負荷がかかっている状態)、この電動自転車は、スタート時に¼回転ペダルを程踏み込んでやらなければならないが、その後はペダルの回転がアクセルとなって無負荷(ペダルを踏む力0対モーター10の割合)で走り出す。
即ちペダルの回転をセンサーが感知してアクセル操作と同じように走り出すのである。
ただアクセル操作と異なるところは、
アクセルはオートバイと同じように操作に応じてスピードをコントロールできるが、
ペダルは回転の速さに関係なくスピードは自動的に力強く加速する。
そして、アシストレベル1でママチャリのシフトレバー1速の場合、時速16キロまで(自転車のギア比によって異なる)。アシストレベル2で時速20キロ、レベル3で時速25キロでリミッターが作動してそれ以上スピードは出ない。
また、アシストレベル1のままで、ママチャリのシフトレバーを2速にすると時速20キロ、3速では時速25キロと言った具合に変速する。
漕ぐのを止めたらモーター出力が0。惰力で走る。
設定速度以上にペダルを漕げばその負荷に応じて加速する。その場合モーター出力は0となり、電力も消費しない。
因みに道路交通法の及ばない堤防でアシストレベル3、シフトレバー3速で走ったら、(アクセル操作による走行)時速45キロまで確認したが、荷台に積んだバッテリーの振動や、マチャリそれも一旦廃車したポンコツ自転車でそれ以上走る勇気は湧かなかった。
長所と短所
長所
1.思ったよりハイパワーで、加速も良い。乗っていて楽しい。
2.アクセル、アシストモード共に設定が優れている。技術的にも優れている。
3.アシストモードの場合、モーターのアシストが0となっても負荷をあまり感じない。(スピードが落ちた時、ペダルを回転がアクセルとなって設定速度まで自動的に加速する)
4.安価なバッテリーで作動。(純正仕様17Aバッテリーでも27,000円程度)
5.思ったより低燃費。ペダルの負荷とモーターの駆動を併用すれば相当距離が延びる。(走り方や環境にもよるがアシスト仕様で30km以上(6A)フル電動15Km内外)
6.「Walk Assist Mode」が搭載されている。(日本の法律では完全に乗れない状態で使用)
7.アクセルモードの場合、微妙なアクセルコントロールに応じて進む。
短所
1.アシストモードの場合、漕ぎだしの瞬間(ペダル半回転程)は100%の負荷がかかる。(1速でもギア比が高い為坂道発進は重たい。アクセルを併用すれば解決するが)
2.アシストモードで発進する場合、モーターがペダルの回転を感知すると力強く自動的に加速するため慣れないと危険を伴う。(日本仕様はスタートから負荷に応じた滑らかなアシスト)
3.アシストモードの場合ペダルにかかる負荷が0の為、ペダルを回していて拍子抜けがする。ペダルの回転がアクセルとなって自動加速する。
総評
付属のアクセルを取付けずに乗れば電動アシスト自転車として使用できるかと思ったが、センサーがペダルの回転をキャッペダルの負荷0となって設定速度まで自動加速する構造である。よってこのアシストモードは日本の道路交通法に適合せず、公道は走れない。
日本の公道を走るには原付自転車の登録をしなければならない!。
原動機付き自転車登録
保安装置の取り付け
以上の状況により保安基準を満たすウインカー等を前回のモペット登録と同様に自作して取り付けた。
いきなり面倒な作業が始まる。
・ウインカー(当然前後 リレー含む)
・尾灯(テールランプ)
・ブレーキ灯(前後ブレーキセンサー取り付け含む)
・警音器(ホーン)
・バックミラー
・ナンバープレート取付板
速度計と前照灯(ヘッドライト)は既に取り付け済み。
特にウインカーのとブレーキランプの配線は頭の中で配線図を書きながら作業するが面倒でもあり、また楽しいひと時でもある。
安いウインカースイッチとブレーキランプをアマゾンから購入。
モペットのウインカースイッチは自作したが、今回は市販の安価な(790円位)スイッチを購入した。
尾灯もブレーキランプ、ナンバープレート板を兼ねた格安(1500円位)なものをアマゾンから購入した。
ウインカーについては手元にあったLEDで自作したが振動による断線によりアマゾンから1組(2個)398円を2組購入。
保安装置のバッテリー
ウインカーやブレーキランプを作動させるにはバッテリーが必要である。
モペットではラジコンで使っていた3セル11.1Vのリチューム電池を使ってる。乗る回数にもよるが2Aの容量で約1年位充電しなくても作動する。
今回は本体のバッテリーから取る方法もあるが、節電の為別途バッテリーを使用することにした。
数年前に太陽光発電パネルでディープサイクルバッテリに充電する装置を自作したことがある。 アウトドア用チャージコントローラーBOX
時代は「自然エネルギー」へと大きく変化している。
ならばこの電動自転車も太陽光発電を利用した近未来型にすべきではないか!
早速ケースのサイズに見合った太陽光パネルとチャージコントローラー、それにバッテリーを取り寄せた。
チャージコントローラーとは太陽光発電に伴うバッテリーへの充電制御及び過放電保護装置である。
約10年前に購入したサンセーバー製のコントローラーは一万円以上した記憶がある。
太陽光パネル2980円ケーブル付き(12v系8W、最大作動電圧17.28v)
左上 12vLongバッテリー(1.2A2210円 完全密封型鉛蓄電池)
真夏にケース内が高温にならないよう冷却ファンと温度計も取り付けた。
パソコン用の小型ファン(2個セット799円)と温度計(2個で598円)
これで公道を走る準備が出来た。
登録
保安装備取り付けも完了して、市役所市民税課でナンバーを取得した。
これも前回のモペット同様販売店の「販売証明書」に記載された排気量(ワット数に応じて種類が異なる。600w以下1 種601w以上2種)、メーカー、車体番号を申告書に転記して「販売証明書」を添付して担当者に渡すだけである。
尚、前回と異なるところは押印が不要であった。その代わり身分証明書(マイナンバーカード)を提示しなければならない。
担当者は「0.5kwですから原付一種になります」といって同日ナンバープレートが交付された。
手数料は無料である。が、次年度より原付一種の税金2,000円を納付しなければならない。
また自賠責保険にも加入しなければならない。
自賠責保険は初めてセブンイレブンで手続きした。店の人も慣れないようで少し手間取ったがすぐに完了した。(期間2年で8,850円)
今回の電動自転車制作から原付登録、そして試乗から1年間、約1,000キロ走っての耐久性や感想等動画にしてみた。
尚、テロップの時間が短いところもありますので興味のある方は「一時停止」してご覧下さい。
YouTube
廃車したママチャリをマキタの互換バッテリーで電動自転車を作って原付登録してみた