構造変更とバイクのユーザー車検にチャレンジ

意外と簡単⁉

これまで車検は専門の業者に任せていたが経費節減と毎日が日曜日と言うこともあってユーザー車検にチャレンジしてみた。

それにハンドルをローハンドルからアップハンドルに変更(車高と車幅が拡大)したので「構造変更」の申請も同時に行った。


ネットで「バイクユーザー車検」と検索すると国土交通所他多数そのやり方が出てくるからありがたい。


先ず初めに

自動車検査インターネット予約システムでアカウントを登録してユーザー車検を行う日時を予約しなければならない。(カレンダーが出てくるので都合の良い日を時間帯を選ぶ)

しかし、初めてのユーザー車検である。 
高齢者を武器としているが、本当の高齢者となって当日検査場であたふたと狼狽えてはいけない。
そこで、事前に検査場の下見を兼ね申請書等必要書類を貰いに運輸支局に行った。

車検の受付は担当ごとに①(ユーザー車検受付)から②③④⑤⑥(登録相談)と分かれており銀行や郵便局と同じように記載台があって受付の前には必要な申請用の用紙が「ご自由にお取り下さ」と幾枚も重ねて用意されている。

そこで①受付の中年女性に感触を探ってみた

「初めてユーザー車検を受けるのですが…」
「今日ですか?」
「いえ、車検は後日なのですか書類を頂きに来ました」
「はいはい、それでは点検整備記録簿はおもちですか?」
「いえ、ありません」
「それでは隣の棟の⑨番にあります。一枚50円です」

他は無料でこの記録簿は有料らしい。

「ところで、検査の様子を見学したのですが…」

はい、初めての方は検査場に見学コースが有りますので2階から検査の様子を見学することが出来ます。自由にご覧ください

ナント!検査の様子を物陰から泥棒猫みたいに観察しようと思っていたら、親切にも「見学コース」が用意されているという。

隣の棟⑨番で点検整備記録簿を購入して早速工場のような広い検査場に行くと一番手前が二輪、続く4レーンが一般自動車で一番奥が「新規」と書いたレーンである。
他のレーンは渋滞した道路のように検査を待つ車が繋がっているが、一番手前の二輪の検査コースは2,3台程度で意外とすいていた。

「見学コース」と看板で案内された階段を上っていくと直ぐ眼下には流れ作業のように検査ラインに沿って計測器があってそこを所有者が自らバイクを進め、自ら検査を行っている。

要するにユーザー車検とはセルフ車検である。

先ず検査コース入口で検査官が車検証と車体番号や車高、車幅等確認の後、指示に基づいてユーザーがウインカー、ブレーキランプ、ヘッドライトのハイビーム・ロービームク、ラクション、ハンドルロック等々の操作を行いそれが正常に作動するか検査している。
(我がバイクは構造変更の為、ここで車高、車幅を計測した数値が車検証に記載されるのかな…?)
因みに検査官の仕事はそのコーナだけだ。問題が無ければユーザーは自らバイクと共に先に進んで行く。
そして順番待ちしていた次のバイクが侵入して同じ検査を受ける。
その繰り返しである。

外観検査を終えたユーザーは次のセクションにバイク移動させ(数メートル前進)そこで何かのボタンを押して金属製の検査棒のようなものをエンジンを掛けたマフラーに差し込んだ。
排ガス、騒音の検査と思われる。
検査が終わるとユーザーは手慣れた感じで検査票を専用の機械に差し込んで次のセクションに進む。

次はタイヤの回転台があって先ず前輪を回転台に乗せ前ブレーキの検査。
掲示板の指示に従いブレーキを掛ける。

〇が出ると後輪を回転台に乗せ、スピードメーターの検査
掲示板の指示に従い車輪をローラーに乗せてスピードメーターが40KMを指したら足元のスイッチを離す。
検査結果が掲示板に○と出た。
今度は後輪を回転台に乗せたままリアブレーキの検査。

同じ位置で最後がヘッドライトの光軸、光量等の検査
ライトが照射される検査版が横からスライドして出てきて光軸や光量を測定。
基準内であれば〇、基準より光量の過不足や軸がズレていたら✖と表示され、手直し後再検査となる模様。
聞いたところによるとこのコーナーが✖と出る確率が最も高いらしい。

以上で検査は終了である。

見学した時のどのユーザーも淀みなく、手際よく、相当慣れたユーザーと思われた。

余程カスタム満載のバイクならともかく純正仕様基調のバイクなら検査のみの時間は10分内外といったところか。

瞬く数台のバイクの点検作業を見学していたら、黒いバックを肩から斜めに掛けた見覚えのあるユーザーが現れた。
バイクは異なるが先ほど点検していたユーザーがである。
要するに、販売店が数台のバイクを一括して持ち込みまとめて車検を受けている模様。
道理で手慣れている筈だ。

この見学で取り敢えずユーザー車検の感触がつかめた。

後は今日の学習を本番で生かすのみである。

検査当日に必要な書類、費用等

  1. 自動車検査証
  2. 自動車検査票検査当日運輸支局の窓口で交付を受ける。検査項目ごとにこの用紙に結果を記録する。合格しなければ再検査)
  3. 定期点検整備記録簿(事前に項目に従って自ら点検結果をチェック。用紙はネットでダウンロード可  購入すれば50円)ただ「点検は検査後の行うと」言えば検査表は無くても良いらしい。
  4. 検査申請書(OCRシート有 継続検査であれば3号様式なるが、ハンドル交換に伴い車高車幅が変更されたため構造変更用の2号様式)
  5. 検査手数料
    (二輪の小型自動車1,800円、それに構造変更検査手数料300円が別途加算 計2,200円)
  6. 自動車重量税
    (4,600円)
  7. 自動車税納税証明書(念のため持参したが不要であった)
  8. 自動車損害賠償責任保険証
    (加入している保険証を持参し、検査当日運輸支局内の保険代理店?で契約を更新した 8,760円)

検査当日

約した車検の時間帯を「第一ラウンド」(9:00~10:15)としたので(万一不備があった場合当日であれば追加料金なしで2回まで再検査が受けられるらしい)
開始の9時前に受付に行って言われた通り、検査費用や重量税、自賠責保険料等をそれぞれの受付で支払い、最後に渡された検査票他一式をファイルに入れて検査場に行った。
スムーズとはいかないが受付のお嬢様たちの手慣れた対応で、ベルトコンベアーに乗って運ばれるが如く進み特に手間取ることもなかった。

総じて受付の対応は特に愛想が良いという分けでもなく機械的で、可もなく不可もないと言ったところか。

検査場は下見の時と同様他のレーンは順番待ちが列をなしていたが二輪のレーンは一台のみ順番を待っていた。

直ぐに順番が回ってきたので試験管の若いお兄さんに
「初めてのユーザー車検です。よろしくお願いします」と健気に挨拶して検査が始まった。

因みにこの検査官のお兄さんも表情に乏しい。
しかし、よく言えば何事にも動じないといった検査官向きの生真面目な男のようである。

目視で外観の点検した後、スケールを伸ばしハンドルの幅と床からの高さを測って検査表に書き込んだ。

当然構造変更だから従前の車検証と車高と車幅が異なる。

構造変更の申請をしていなければここでアウトである。

その後の点検は見学で大体要領が分かっていたので何となくぎこちなかったが心配していた最後のヘッドライトの検査も無事終了した。

最後に検査票回収担当の検査官が

「構造変更になりますので一番奥のレーンで検査を受けて下さい」と言った。

ええっ! キミ、さっきハンドの幅も高さも測ったじゃないか!
と言いたいところだが、理屈が通るはずもない。

「分かりました」とひ弱な高齢者を装って一旦外に出て一番手前のレーンから一番奥のレーンまでバイクを移動させた。

このレーンに並んでいる車はキャンピングカーや冷凍車等で、察するところ特殊改造車両を検査するセクションと思わた。
既に数台が順番を待っている。
見た目はハイエースだが大方キャンピングカーに改造したと思われる最後尾の車両の後ろにバイクを並べた。

因みにバイクは我一台である。

日差しは強い。

順番待ちの運転手は固くウインドウを閉め上げ、クーラーを効かせて無言で順番を待っている。

しかしバイクはそうもいかない。

バイクのスタンドを立て、日陰を求めて軒下に移動し、身をひそめるようにして待つ。

一台が終われば全体が一台分移動する。

それに合わせてバイクも移動しなけらばならない。
シートは焼けるように熱い。

少し移動しては軒下、少し移動してはまた軒下その繰り返しである。

気のせいかどの運転手も高齢者のその姿を見て見ぬふりをしている。

何だかみじめになった。

やっと順番がやって来た。

検査官が広い鉄板の端にバイクを止めさせ、そして

「重量を計りますのでこの枠から出て片手でハンドルを持って下さい」

要するに鉄板は大きな重量計でそれに人は乗るなと言うことである。

それはともかく片手だけでハンドルを掴んで、それも対岸から手を指し伸ばした状態でやじろべえの如く重いバイクを支えて垂直にし、倒さないようにしなければならない。

これは微妙なバランス感覚が必要である。下手すると反対側に倒す。

私はゆっくりとバイクの重心を中央にとりながらバランスをとった。すると今度は

「その状態で写真をとりまーす」

はぁ、写真! 

キミはレントゲン技師か!

それとも記念写真屋!

構造変更の記念に愛車との写真をプレゼントするとでもいうのか…⁉ 

そんなの要らないし。

「はいお疲れさまでした。バイクを駐車場に移動してそこでお待ちください」

「そこ」とは検査官の事務所に併設された小さな駅の待合室のようなところだ。
既に業者と思われる5.6人が書類の出来上がりを待っていた。

狭い待合室に長く待たされやっと書類が渡された。

その書類を最初の棟の受付に戻って提出し暫くすると、ハガキ大に小さくなった車検証が渡された。

想像していなかった出来事もあったが11時前には全てユーザー車検終了。

(外枠旧車検証 左下みほん新車検証)

かかった費用

二輪館概算見積もり   65,000円(それなりの点検整備を行う)
個人のバイク屋     45,000円(点検整備)
車検専門店       27,900円 (車検のみ)
※構造変更手続きを伴わない一般的な(過去の経験による)金額

総評

メリット

1.安い (業者依頼の半額から¼程度)
2.短時間で完結(1時間30分程度)
3.意外と簡単(高齢者でも出来る)
4.検査は短時間と言え下調べなどで暇つぶしが出来て楽しい。
5.ユーザー車検(構造変更を含む)をやったという小さな満足感がある。

デメリット

1.検査で不具合が見つからないか不安が伴う。
2.簡単とは言え全て自分で行わなければならない。
3.通常は車検期間の満了日は継続されるが、構造変更を伴えばその日から2年間となり残存期間は消滅する。
4.構造変更の検査の時(写真撮影)バイクを倒さないよう要注意(今後変更の予定はない)
5.次回ユーザー車検を受ける時は70歳を超える。免許更新のように年齢制限で引っかからないか一抹の不安がある。

記念写真の目的が判明

後日、気になっていた重量測定時の記念撮影について調べたところ以下のような理由が判明した。

目的はトラックト等、車検後の不法改造を防ぐため前後左右計8台のカメラで車高、車幅、車軸等をカメラで撮影し電子データーとして保管し、継続車検(次回車検)時に二次架装(不正改造)がないか撮影したデーターと照合する為のものらしい。

要するに写真で正しく計測する為に車体を平行、垂直に立たせたのである。

しかし、バイクにそこまで手間暇をかける必要があるのか? それも高齢者に。

万一バランスを崩してバイクを倒してキズや破損した場合の補償は?

「高齢者はカブに乗っときなさい」

と説諭されるのがオチか…。

それに顔写真もバッチリ撮られてしまった。多分。別にいいけど。

※以上は薄れる記憶を辿っての記述です。
検査順番等内容に間違いがある場合はご容赦くださ。

自転車の 共振(シミー現象)の原因は前輪ブレーキにあった

自転車に限らず船舶や飛行機など大気の抵抗を受けながら進む物体は常に振動が発生し、その振動が他の要因と重なって共振となりやがてハンドルや躯体に大きな振れが発生することがある。
取り分け私が経験したロードバイクとマウンテンバイクの恐怖の「共振」について自分なりにその原因を究明してみた。

ロードバイク

今から55年前、片道約4kmの中学の通学用に丸石ヤングホリデー(初期型、デコレーション無し。セミドロップハンドルを学校の指定でアップハンドルにして)に乗って以来、ランドナー、マウンテンバイク、ロードと今日まで自転車に親しみ楽しんできた。
特にレース志向というものではなく、もっぱら近場で行われるサイクリング大会等に参加して楽しむ程度であったが、定年退職後の昨年10月には「サイクリングしまなみ2022」に遠征した。そして好天のしまなみ海道往復140キロを満喫し、改めてサイクルスポーツの愉しさ、爽快さを知った。
HOBBY time 自転車のページ

ただ、その長いサイクリングの愉しみの中で突然不安と恐怖に陥ったことがある。それが「共振」シミー現象とも言われるハンドルの突然の振れである。

最初に「共振」を経験したのは約10年前、仲間たちとツーリングの最中。
長い下りの途中、突然、意思とは無関係にブルブルとハンドルが震え出した。
その振幅が次第に大きくなってコントロールを失い、あわや大惨事という恐怖に見舞われた経験がある。

さてはパンク? スポークが折れた? クイックリリースが緩んだ⁉など考えるゆとりはない。

初めての体験になすすべはなく、出来ることと言えばハンドルしっかりと掴み、スピードを落とすのみである。

恐怖の中、どうにか減速し無事に停車した。
そして前輪、後輪、ハンドル、フレーム(アルミ)を点検するが特に異常は見当たらない。
後続の仲間も「急にハンドルがグラグラっと震えましたね」と目玉を丸くするばかりだ。

帰宅後ホーイール(手組)の振れを詳細に点検したがこれといった異常は見当たらない。強いて言えば¼回転弱の振れを修正し、それが路面等の振動とたまたま共振しハンドルの震えの原因と断定した。(断定せざるを得なかった)

2回目の「共振」は昨年(2022年)ソロツーリングの途中長い下りの途中にあったトンネルに入った時。

サングラスでトンネル、それも古くて照明も乏しいトンネルだから瞬時に闇夜と化す。
徐々にブレーキを掛けて減速し、間もなく出口にというところに差し掛かった時それが発生した。
闇の中、ブルブルと震える手で必死でコントロールを保ちスピードを殺して事なきを得た、が、もし対向車に大型トラックや追い越しをかけた後続車がいたらと思うと今でも生きた心地がしない。
この時は1回目とは異なるバイクで、ホイールは完組、フレームはカーボン。
点検しても特に異常は無かった。
思い当たる節といえば暗いトンネルを走る緊張感による腕の硬直か? 
或いは高齢による手の震え?
もしそれが原因ならロードバイクの免許返納である。

そして3度目は立て続けに今年(2023年)6月、仲間と走行中、やはり直線の長い下りの途中にブブブルグラグラと来た。

50代の後続者も「共振しましたね。私も一度あります」と言ったが原因は判らない、とも言った。

今回のバイクはホイール、フレームもカーボンで1回目、2回目とは異なるバイクである。
その場で点検するもやはり異常は無かった。

昨年に続いての「共振」である。原因が分からないだけに不安は募るだけである。
運よく命拾いしたがこのままではロードバイクに乗れない。

原因はやはり加齢によるものか?
ショックは大きい。

しかし、ネットで皆様のご意見や体験を窺ってもどうやら年齢には関係なさそうである。
それになるほどという原因も見つけることが出来ない。

ならば、何とかして自分でその原因を突き止めよう!
さもなければいよいよロードバイクの免許返納である。

原因究明

共通点
1.比較的長い下り、それもほぼ直線で発生。
2.下りの途中、時速30~40キロでスピードコントロール中(ブレーキング中)に発生。
3.ブルブルと震えが始まってあわやあわやと思う間もなく震えが更に大きくなって(共振して)ハンドルが左右にグラグラとブレだす。
4.ブレーキの前輪対後輪の比率は後輪によるスピードコントロールを心掛けてたつもり。
5.コントロールが不能となり、必死でスピードを落とすとやがて共振が止む。
6.点検しても車体に異常は認められない。
7.3回発生し、いずれもフレームもホイールも異なるロードバイクである。

以上の状況により車体(ホーイールやフレーム)に原因があるとは思えない。
それではブレーキングにより腕に力が入ってその腕の震えがハンドルの微妙な振動と共振してハンドルがブレたのか?
それならば加齢による腕の震えも考えられる。
しかし、調べてみると比較的若いライダーも「共振」を経験しておられるから一概に加齢が原因とは言えない。

ところで、マウンテンバイクで低速で走りながら体重を前輪に移動しフロントブレーキをグッと掛けると前輪は瞬時にロックし、後輪がフワッと浮き上がる。
そしてロックした前輪を支点に倒立したところでハンドルを切ればその方向に車体は回転する。所謂ジャックナイフターンである。

このように前輪の特性として、ブレーキを掛けると、後方からの押す力がタイヤの接地面に食い込むような荷重となって急激に減速し、制動力は極めて強力である。

万一走行途中に前輪がロックしたら即転倒、大惨事となる。

一方後輪は体重による加重が前輪より大きく、更に慣性で前に引っ張れられる力が働く。
よって制動力、減速力は前輪より弱く、たとえロックしたとしてもスリップしながら前に進む特性がある。

即ち、5:5はもとより4:6、3:7、場合によっては2:8の割合で後輪に制動力を掛けたつもりでも実際の制動力は前輪の方が強力となる可能性が高い。
もし、利き腕が右手(前輪ブレーキレバー)の場合はなお更である。

もし、下り坂で後方から、制動トルクの弱い荷重で押されながら前輪ブレーキを掛け続けた場合、車体は前につんのめりながら必死に減速しようともがく。
そのもがきに構わず(気づかず)ブレーキを掛け続けると、慣性力と制動力のバランスを崩し、もがく前輪の力は間もなく震えとなり、その震えが適度なスピードと共振しコントロール不能の大きなブレとなるのではないか⁈

それを決定づけるある出来事を思い出した。

今から30年位前、あるサイクリング大会での出来事である。
峠を越えた田舎の狭くて長い下り坂を走っていた時、ブラインドカーブに差し掛かった。
私は次のカーブはくの字型に曲がりその先にはせせらぎのような小川に架かる橋が在ることを知っていたのでそれに備えて減速したが、前を走るライダー氏はそのままのスピードでカーブに差し掛かった。
私は「あのスピードで大丈夫⁉」と思ったその瞬間、

ライダー氏のハンドルが大きくグラグラグラと振れ、次の瞬間そのままのスピードで石の欄干に激突。

氏は宙を舞って向こう岸の土手にほぼ背中から着地した。
これまでに遭遇した最大級の自転車事故である。
ただ、着地点が超奇跡的に草が茂った肥沃な土手で、宙を舞った中年のライダー氏は自力で体制を整えた。
あと1メートル少々手前は石ころだらけの河原であった。
大丈夫ですか、と声を掛けると、

「何とか大丈夫です。それより、自転車は大丈夫でしょうか?」と土手に座り、憔悴した声で氏は言った。

私が自転車を確認するとトップチューブの先端が蛇腹のように縮んでいた。
後の情報では鎖骨骨折という事であった。不幸中の幸いとしか言いようがない。
因みに、そのコースでは毎年マラソン大会が開催されており、私はそのマラソン大会にも参加しており、状況を把握していたのが幸いした。

それは兎も角、問題は激突直前の急ブレーキによるハンドルの「グラグラグラ」と大きな振れ、まさしく「共振」である。

即ち、ライダー氏は急カーブに慌てて(反射的に)前後のブレーキで急制動し、後輪の制動以前に前輪に制動力が集中したことで行き場を失った後方からの急激な加重(力)がハンドルの大きな振れとなってコントーロールを失っての惨事である。

ただ、後輪を先に制動させたとしてもあの状況なら、ハンドルの大きなグラグラグラは無かったとしても(後輪の横滑り転倒、激突で)結果に大差は無かったかもしれないが…。

以上の理由により、ロードバイクの共振(シミー現象)は制動時に、後輪より前輪の制動力が強くなった時、それも連続的に掛け続けた場合、後方から押される負荷に耐え切れずに発生する振動、と結論づけた。

原因が解かれば予防策は簡単である。

スピードコントロールは後輪。

前輪のブレーキを使ってスピードを落とす場合は断続的に掛ける。

即ち手動ABSとすること。決して、掛け続けてはならない。

要するに初心者的ミスである。

それでは何故ここ十年に発生するようになったのか?
一つだけ思いあたる節がある。
私は十数年前にモペットを買った。
それは、エンジン付き自転車の重い車体で、ブレーキはママチャリと同じ前輪はキャリパーブレーキ、後輪はローラーブレーキである。

効きは極めて悪い。

特に前輪はフルブレーキを掛けても重い車体をいつまでも引きずって止めることが出来ない。後輪も同程度である。
よって、前輪をマウンテンバイク用のVブレーキに取り換えた。
それでもロックするほどの制動力は無いが、リムへの接地面積が広くなった分制動力は強まった。
勿論、後輪はママチャリのままである。
だから停車や減速時は効きの良い前輪(右ブレーキ)でスピードコントロールする癖が知らないうちについたのかも知れない。

何はともあれ「共振」の原因が加齢によるものでないことに一安心である。

マウンテンバイクの共振

マウンテンバイクバイク(MTB)の全盛期(1990年頃)、週末には林道や山に登って時には担ぎ上げ、下りは獣道などのオフロードを愉しんでいた。
最近はめっきり下火となったがMTBはロードにはない愉しみがあった。

現在のMTBはサスペンション付きのフオーク(中には前後共に)が常識となっているが当時はフロントサスペンションはあまり普及しておらずノーマルのフオークであった。

それで凸凹のオフロードを調子に乗ってガンガン下っていると、「ポンポンポン」とハンドルが上下に跳ねだす。
(ロードはハンドルが左右に「グラグラグラ」に対してMTBは上下に「ポンポンポン」)

まるでは暴れ馬に乗ったように上下にはじかれるように跳ね、加速するとそのブレは大きくなり、コントロールできなくなる。
だからロードバイクと同じく必死の思いでブレーキを掛けてスピードを殺す。

原因と対策

この原因は、下りにスピードが増してくると凹凸の路面に連続して跳ねるタイヤが上下にリズムをとって振動となり、やがて一定のスピードと「共振」して振幅が広がり、暴れ馬状態となっての暴走である。

MTBの共振については上下に跳ねるから凡そ原因も分かっていたので安心していたという分けでないが、比較的よく発生していたように思う。

ところがある時からその「共振」が一切なくなった。

それはフロントフォークの衝撃を吸収してくれるサスペンションに交換したときからである。

取付けたサスペンションは「マニトウ」のエラストマー方式(伸縮率の異なる太いボルトのようなゴムを連結させて衝撃を吸収するタイプ)で今はほとんど見かけないが、下りでの振動吸収効果は絶大であった。

ロードバイクに於いてもサスペンションが有ればフロントホイールに掛かる荷重を吸収してくれるだけでなく、コーナリング時の食いつきも良くなるはずである。
(立ちこぎやアタック、スプリントではサスペンションをロックか)

近年ロードバイクもMBT同様ディスクブレーキ全盛となったが、次のロードバイクは超軽量フロントサスペンション搭載の時代到来に違いない。

オートバイの振動の原因

これまでオートバイでハンドルが共振で振れた経験はない、が、スピードが出るとハンドルが振動する、ブレる。或いは手放し運転するとグラグラと振れるという話をたまに聞く。

もし、それが車体に異常が認められないのに発生する、という時の原因は、凡そ積載荷物の重さの左右のアンバランスが考えられる。

船も飛行機も重心は常に中心に来るように積載される。もしそのバランスが前後、左右で異なると、偏った方向に沈んだり曲がろうとする。そうなると真っ直ぐ走ろうとする力と曲がろうとする力の差が振動となり、スピードや燃費だけでなく安全性にも支障を来す。
バイクの場合アンバランスな荷重であっても知らないうちに身体で微妙なバランスをとっているが、一定のスピードになってくると車体は真っすぐ走ろうとする力が強くなす。その僅かな差が微妙な振動となり、一定のスピードに達するとそれが共振して大きな振れになる可能性がある。
また、リアに片方だけのバッグを取り付けた場合、重さに加え風の抵抗による振動も考えられる。

尚、オートバイの場合、エンジンの鼓動やタイヤ、路面、風圧等常による微妙な振動が常に発生しており、その振動が共に打ち消しあったり一定のリズムで共振し振れる可能性もあるらしい。

ともあれ自転車、オートバイの共振の原因については車体に異常が無い場合、例えばホイルバランス、タイヤ(空気圧含)、フレーム、チェーンやボルトの緩み等に異常が無い場合に考えられる個人的な考えである。

W650 サイドスタンド傾き調整

最近カワサキW650のサイドスタンドを立てたとき、
スタンドが外側に滑るように広がって車体の傾きが大きくなってきました。

これまで台風で2回、地震で2回、サイドスタンド側に倒れたことがり、それが原因かと思っていました。

しかし、よく見てみると、フレームとサイドスタンドの接合部が摩耗して、隙間が出来ており、それが原因のようです。

続きは動画にしてみましたのでご覧ください。

※この動画の音声は「かんたん!AITalk3」で制作しました。